活動レポート

[2012年7月30日] 東京駅丸の内駅舎工事視察

IMG_0296いま私が最も楽しみにしている『東京駅丸の内駅舎保存・復元』の視察に行ってきました。
ご存知の通り、千代田区丸の内一丁目にある東京駅は、東京の表玄関であり、面積は東京ドーム約3.6個分にも相当する巨大ターミナル駅です。その皇居側にあるのが、国の重要文化財である赤レンガ造りの丸の内駅舎です。


IMG_0277辰野金吾の設計により、1914年に竣工し、当時鉄骨レンガ造り3階建て長さ330mの洋式建築でした。丸の内駅舎は、1945年の空襲で南北のドームと屋根を焼失し、戦後2階建てとして復旧し現在に至りました。この復元工事では、ドーム屋根の復活と3階の新設により創建時の外観を再現するとのことです。また、地下には躯体を新設し既存建物との間に免振層を設置するなど、耐震性能も向上させています。視察は現場事務所において工事概要をビデオで学習した後、現場へと移動し外観、構造体、建物内部の順でご説明を受けました。
IMG_0357保存復元計画
『未来へ継承すべき貴重な歴史的建造物として、残存している建物を可能な限り保存するとともに、創建時の姿に復元します。』との基本方針により、赤レンガ躯体や鉄骨はそのまま使用されています。また、屋根も天然スレート、銅板で創建当時に復元されています。この天然スレートには、石巻市雄勝町産が極力使用されています。東日本大震災の津波により、その多くが流されてしまいましたが、業者の方々は諦めず1枚1枚拾い集め、泥を丁寧に洗い落し検査の上、東京駅へ出荷されました。この復興のシンボルである『奇跡の瓦』が東京駅の屋根を飾っています。
ドーム3、4階の内部には、干支や2.4mにもなる大きな鷲の彫刻など素晴らしい造形となっています。残念ながら写真はまだ公開不可との事でしたので、お見せできなく申し訳ありません。後3ヶ月後には公開されますので、楽しみにしていてください。ちなみに干支のレリーフは8支しかありません。私は(龍)はありましたが、自分のがあるか是非ご確認ください。なかったら少し寂しいですね…..(笑)
この保存復元には、大変なご苦労があったと聞きました。明治時代の設計であり図面が残っていない為、残在する写真や文献より、創建時の形や色を確認されながらの作業だったそうです。
構造計画
『丸の内駅舎を駅・ホテル・ギャラリー等として恒久的に活用するために必要かつ十分な安全性・耐震性を確保し、免振工法を採用します。』との基本方針により、日本最大規模の免振工事が施されています。これまで約100年間躯体を支えていた約1万本の松杭が撤去、新たに地下2層が構築され駅舎との間には、158台のオイルダンパーと352台のアイソレータ(免振ゴム)により巨大地震にも耐えうる免震構造となっています。免震化工事中に、東日本大震災も発生していますので、仮受けも充分な施工だったことが伺えます。流石は日本のゼネコンですね。
IMG_031410月1日には『東京ステーションギャラリー』がオープンします。近現代美術や建築、デザインを中心とした展覧会などが企画されるそうです。展示内部は、創建当時の煉瓦壁や鉄骨が残っており重厚で歴史的な雰囲気でした。更に10月3日には高級ホテルとして『東京ステーションホテル』もオープンします。内部の写真は残念ながらお見せできませんが、超高級な大人の空間と言った感じでした。夜間は、照明デザイナーの面出薫氏デザインによるライトアップも始まるそうで、いまから楽しみです。
IMG_0373歴史的な建築物、保存、修復、活用される事例が増えてきています。歴史的文化的に貴重な建物を次世代に引き継ぎ、街の歴史や魅力を高めていくことは大変重要なことだと思います。この東京駅丸の内駅舎はこれからも首都東京のシンボルとして、未来の東京を見守ってくれるでしょう!
最期に、今回の視察はJR東日本株式会社様のご厚意により実現しました。心より御礼申し上げます。ありがとうございました。

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内田 直之 事務所

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